にんにく部会産地動 向調査(北海道)報告

  • 2018年02月24日(土) 19時01分31秒
  • なし

写真:にんにく部会産地動 向調査(北海道)報告

【目的】
近年、にんにく作付け面積の増加が確認されている北海道(全農調べ)。昨年に引き続き今回は道内有数のにんにく産地である十勝清水管内を訪れ、その取り組み状況を確認し、今後の部会活動に繋げようと10月30日〜11月1日にかけて産地動向調査を実施した。

【参加者】 にんにく部会
会長 中野 静毅 / 副会長 佐伯 勝利 / 生産販売対策委員 平田 光孝
特別栽培にんにく協議会 荒木 元晴 / 抑臭にんにくプロジェクトの会 天間 寿寛
本所事務局 柴田 良一 / 天間林支所事務局 冨田 大介

1.海の駅 ぷらっとみなと市場

2018022012.jpg

苫小牧港近くにある「海の駅ぷらっとみなと市場」では、水産5店舗、青果4店舗、食品・お食事処店舗が10店を構える。平成14年から海の駅として営業する、港町ならではの市場となっていた。

2018022011.jpgその中にある青果店では、青森県産にんにくとして「JAゆうき青森MILDにんにく」が販売されており、隣接している苫小牧市公設地方卸売市場から仕入れ販売しているとのこと。

店主によると、近年の黒にんにくブームで消費者が自ら黒にんにくを作るケースが増えており、原料となるにんにくの売れ行きが好調とのことであった(黒にんにくの販売は以前にも行ったが、高値のため売れ行きが悪かったとのこと)。

同じ棚には北海道産のにんにく(千歳産)も販売されていたが、黒にんにくの原料としたときの甘さ、風味が全然違うとのことで、割高でも青森県 産のにんにくを購入していく買い物客が多いとのこと。ただ、すりおろして使用するラーメン店や食堂を営む方は、原価の関係から中国産にんにくを購入していくとのことであった。

にんにくの産地化が進む海道ではあるが、需要の高い青森県産は今後も店頭に陳列していくとのことであった。

2.十勝農業協同組合連合会

十勝農業協同組合連合会は、十勝管内24農協を会員とする地区連合会で、関係機関との連携のもと、会員農協・組合員をサポートする事業を行っており、今回は土壌分析・病害虫分析・堆肥分析・飼料分析・残留農薬分析を行う農産化学研究所で十勝管内の動向調査を行った。

2018022013.jpg

土壌分析に関しては、年間2万件の分析をこなしており、分析結果の活用までの流れがしっかり行われていた。また、近赤外線やX線を用いた分析法の導入により、生産者への結果報告の迅速化が図られていた。

病害虫診断は、既存通りのキタネグサレセンチュウ、キタネコブセンチュウ、ジャガイモシストセンチュウや病害診断を行っているとのこと。

残留農薬分析に関しては、JAネットワーク十勝の事業として実施し、1農家作付け品目は出荷前残留農薬検査を義務化しており、年間7千件以上の検査を行っている。

ここ数年、にんにく圃場の土壌分析や残留農薬検査の実 施が増加傾向にあり、担当の 岡崎さんも「にんにくの栽培 面積が伸びてきていると思う」と話していた。

3.十勝清水農業協同組合

2018022015.jpg

十勝清水管内でのにんにくの作付けは平成22年から始まり、乾熱処理施設や乾燥貯蔵施設の導入から近隣農協の池田町、足寄町の生産農家への声かけも行い、現在は35戸の生産者で2,424アールの作付けを行っている。

種子に関しては、作付け当初は青森県内から購入していたが、栽培面積が増加する中で種子更新率を高めることができず(青森県内からの供給が制限されていたため)、年々反収は落ち込んでいったとのこと。それらの打開策として福地ホワイト6片を民間会社に委託して培養を行ったほか、更なる大量増殖及びコスト削減のためにタイでの栽培を実施。それらを原種として選果場に隣接するハウスで増殖し生産者へ供給する体制を整えた(H29年植付分から)。十勝清水農協では、いずれは採種まで農協で行い、できるだけ生産者へ安価な種を供給する体制作りを模索している。

また、十勝ブランド確立のため、農協で製造した牛糞+鶏糞堆肥を必ず使用することとしており、資材を使用しないものに関しては、十勝清水にんにくとして販売しないなど、管理を徹底していた。

十勝清水にんにく部会長の宮川さんは「栽培で特に気をつけているのは、H26年度のような凍害被害をどのように防ぐかです」と語る。圃場では雪の下になるように、畦間に暴風ネットを張りマイナス20度という外気温にさらされないように対策をとっていた。

病害虫防除対策に関しては最高4年の連作とし、春腐れ や葉枯れ、黄斑病主体の防除を10日間隔で行っていた(昨年調査した芽室では無防除)。

作業機械に関しては特に改良したものは使っていないと作業機械に関しては特に改良したものは使っていないとのことで、植付けは植付機、収穫は1条掘りを使用。収穫後はミニコンでハウスに運び、1週間は強制乾燥(シート)。その後、入れ替え等を行いながら乾燥を仕上げ、乾燥完了後は農協へ入庫という流れとなっていた。

2018022014.jpg入庫されたものは農協が管理し、調整、選果、出荷、加工までを行ない、販売手数料は1kg 500円程度となっているとのこと。下位等階級品のほとんどは黒にんにくとして販売しており、選果場と隣接している加工所は、近隣に住宅は見当たらないが製造過程で出る臭いの苦情があるとのことで、来年度はオゾンでの消臭設備を計画しているとのことであった。

まとめ

昨年調査した富良野・芽室管内では、契約栽培が主であったことや種子確保などの点から今後の面積増加は難しいとのことであったが、北海道内有数の作付け面積となる十勝清水管内では、生産者のための体制が徐々に整えられてきており、面積の拡大が可能な地域であると感じた。

北海道産と差別化する際、青森県産はながいもでも味では負けないというコンセプトで栽培を行っているが、今後は「にんにく」でも同様の差別化が求められており、今後の動向に注目する必要がある産地だと感じた。

また、今回の研修を通し得た情報を部会活動に活かし、各生産者への情報提供及び産地維持・発展に努めていきたい。

JAゆうき青森 新着情報

カテゴリー
月別の記事
キーワードから探す